藤くんが今日も冷たい件について(仮)【完】
「なに。藤のことが聞きたかったの?」


「う、うん。そうだけど……」


「だったら直接本人に訊けばいいのに」


「まあ、そうなんだけど、今若干気まずくなってるというかなんと言いますか……実は文化祭の前くらいから話してなくて……なんかいきなり話しかけるのもちょっと勇気がいるし……」



って、私、なんでこんなヤツに悩み相談してんだ!?


私は目の前の浜井くんをちらっと見た。


すると浜井くんの意識はどうやら私になかったようで、一生懸命ケータイを弄っていた。



「…………」


「ん?なに?」



いや、私、喋ってたんですけど。
目の前にいる人無視とか何なんだこの人は。
自由人か。


まて。川嶋美波。
それに冷静になってみろ。
よく考えたらこの組み合わせおかしくない!?
そもそも藤くんと佐伯さんのこと少し聞きたかっただけなのに、なんで私は放課後にこんなところまでノコノコと来てしまったんだろう。



私は凄まじい後悔の念に駆られていた。



「………私、もう帰るね」



そう言い、私は椅子から立ち上がり、机の上に置いていたトレーを持ち上げようとした。

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