藤くんが今日も冷たい件について(仮)【完】
「ん?えっとさー、前川さんって彼氏いるの?」


「……?いや、いないと思うけど……」


「へー。そうなんだ〜」



………ん?

なになになに。

いつも女の子のことをちゃん付けしてるくせに「前川さん」って………

ま、ま、ま、まさか!?


私は顔が青ざめていく音が聞こえるような気がした。



「ははは浜井くん、もしかして麻美さんのこと………」


「んー?」



浜井くんは頬杖をつきながら妖し気な笑みを浮かべる。



「あああ麻美さんはダメだからね」


「ん?なんで?彼氏いないんでしょ」


「彼氏は……いないけど、ダメったらダメ!!!」



私はなんだかんだで麻美さんとケインの仲を応援しているのだ。


なのにましてやこんなチャラチャラ浜井なんか以ての外……



「とにかく、絶対ダメったらダメだからーーー!!!」


「まぁまぁ。とりあえず落ち着こうよ」



気がつくと私は立ち上がり、大きな声を出していた。


ふと冷静になると、隣に座っていた女子高生たちが、驚いたようにこっちを見ていた。


私は顔を真っ赤にし、縮こまりながら座る。



「逆にそこまで言われたら燃えてきちゃいそう。俺」



私は今度は逆に一気に顔の血の気が引いていった。



「あはは、川嶋ちゃんの百面相、サイコーだわ」



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