藤くんが今日も冷たい件について(仮)【完】
向き合う二人。


そして相変わらず藤くんは口角をあげ、あやしげな笑みを見せていた。


私は覚悟を決め、口を開いた。



「あ、あんま痛くしないでね」


「あ?それじゃあ、意味ねぇだろ。俺が現実をわからせてやるよ」



そういいながらフッと笑う藤くん。


そんな藤くんもかっこいい!!


……なんて今の状況だと到底思えるはずはなかった。


私は藤くんを見つめる。



「……目つぶった方がいいんじゃない?」



「えっっ!!」



そんなに本気で頬をつねってくる人なんて初めて見た。


私は言われた通りギュッと目をつぶる。


ほんと怖いんですけど!!



「歯を食いしばれよ」



その発言から、まさか、藤くん、私を殴るのでは?という発想すら生まれてくる。


目と口を閉じ、覚悟を決める。



すると藤くんが頬に触れてきた。



目と口元に自動的に力が入る。



そして、












藤くんは



私の唇に



そっと優しく



唇を重ねた。








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