藤くんが今日も冷たい件について(仮)【完】
そうして、辿り着いた学校の下駄箱。


私は藤くんを待っていた。


朝、こうして藤くんを待つのも久しぶりだ。


私は下駄箱の壁にもたれながら、昨日の出来事を反芻した。



藤くんには好きな人がいた。


それは私だった。


そして、優しくキ……


そのシーンを頭の中にフラッシュバックさせるともう恥ずかしさでいっぱいになる。


真冬なのに顔から火が出そうなくらい熱い。


しかし、その出来事は思い返せば思い返せすほど、私にとって都合良くできており、冷静になった今、現実ではなく幻だったのではないかと思わせるのには充分だった。


そんなことを何度も何度も考えていると、登校してくる生徒たちもまばらだったのがどんどん増えてくる。


藤くんに会いたい。


けど、会って、もし否定されたら……


今度は私


もう立ち直れないかもしれない。


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