藤くんが今日も冷たい件について(仮)【完】
「じゃあまず材料を洗う係と切る係を決めようか」



優等生大木くんが仕切ってくれている。



これでうちの班のカレーは安泰だ。



「川嶋さ〜ん」


振り向くと横には赤井さんがいた。


赤井さんは目がくりくりしててぶりっ子なのが特徴だ。
化粧がちょっと濃いが。
そして背も小さくて可愛い。
化粧がちょっと濃いが。



「影山くんがいないから連れてきてくれない?こういうのってみんなでした方が楽しいじゃん?」



出席番号で分けられているので必然的に影山修二と私は同じ班だった。
なぜ影山修二を呼ぶ役を私に託す。



「でも影山くんって今日来てたっけ?」



こんな行事、絶対サボりそうな気がするんだけど。



「ほらあっちの方いるよ!」



赤井さんが指差す方を見ると、どうやら影山修二らしい後姿を発見した。



「川嶋さん、影山くんとよく話してるじゃん」




「話すって「邪魔」「うるさい」「バカ」しか言われたことないんだけど」




「級長お願い〜」



ねっ?なんて言いながらぶりっ子らしく上目遣いと両手を合わせたジェスチャーの合わせ技をみせる赤井さん。



ぶりっ子もここまで徹底してるともはや尊敬にまで値する。



ギャルの圧力に圧倒された私。



「わかりました。わたくしめが連れて参りましょう」




男の気持ちが分かった気がする今日この頃だ。
< 65 / 445 >

この作品をシェア

pagetop