藤くんが今日も冷たい件について(仮)【完】



***



「じゃあ今日はここで解散です。お疲れさまでした。明日寝坊するんじゃないぞ〜」



バスから降りると酒井先生が拡声器を使用し、みんなに声をかけていた。


足の痛みは…無理して下山したせいかどんどん酷くなってる気がする。


ここで足が痛いことを訴えみんなに心配してもらえばいいものの、自分のドジさとそれを知られる気恥ずかしさで何も言えずにいた。


私は変なところでプライドの高いチキンなのだ。



「じゃあ私帰るね。また明日〜」



バスで隣だった麻美さんはあっさりと帰ってしまった。


想定内だ。


私の家はここからだと普通なら徒歩で帰れる距離。


ただこの足の痛み…タクシー使いたいがあいにく今日のためのお菓子を買ったため、財布の中には170円くらいしかない。


仕方ない。


そう覚悟を決めたその時だった。

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