藤くんが今日も冷たい件について(仮)【完】
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「じゃあ今日はここで解散です。お疲れさまでした。明日寝坊するんじゃないぞ〜」
バスから降りると酒井先生が拡声器を使用し、みんなに声をかけていた。
足の痛みは…無理して下山したせいかどんどん酷くなってる気がする。
ここで足が痛いことを訴えみんなに心配してもらえばいいものの、自分のドジさとそれを知られる気恥ずかしさで何も言えずにいた。
私は変なところでプライドの高いチキンなのだ。
「じゃあ私帰るね。また明日〜」
バスで隣だった麻美さんはあっさりと帰ってしまった。
想定内だ。
私の家はここからだと普通なら徒歩で帰れる距離。
ただこの足の痛み…タクシー使いたいがあいにく今日のためのお菓子を買ったため、財布の中には170円くらいしかない。
仕方ない。
そう覚悟を決めたその時だった。