藤くんが今日も冷たい件について(仮)【完】
前方左にいる佐伯さんを一瞥した。



佐伯さんは最近師範の免許も取ったらしく書道の腕前は秀逸だ。



斎藤先生も出来上がった作品を見て素晴らしいといつも絶賛しているのを私は横目で見ていた。



おまけに勉強もできる。
それは学年が上がって一番初めの春休みあけ実力テストで実証済み。


運動だって、体育の時の体力テストで短距離はクラスで一番速かった。おそらく他のスポーツもできるに違いない。



その上、あの容姿。
今も私の横にいる大木くんがその姿に見惚れて、手を動かせていないほどだ。



天って二物も三物も与えるんだよな。
この歳にして世の中の不公平を身を持って感じる今日この頃だ。



そうして今日も斎藤先生に「あなたの作品は他の人とは違う独特なものがある」などと褒めてるのか、けなされているのかよく分からない言葉をかけられ授業は終了した。
< 95 / 445 >

この作品をシェア

pagetop