鈍感で馬鹿な君だから
わたしのことを仲良さげに、朔、と呼び捨てで呼ぶこいつとわたしは、別にすごく仲がいい訳でもないと思う。
確かに中学生のときはよく話したりしたこともあるけど。
仲も結構良かったかもしれないけど。
高校生になってから、クラスを離れたりでほとんど話してなかったはず。
それで、なんだっけ?
いきなり現文を教えてくれ?
何を言ってんだろうかこいつは。
「えーと……うーん?
正臣(マサオミ)くんであってますよね?」
「え、ちょっと待ってよ、まじ?
名前確認とかまじ?
俺ら同中じゃん!仲良しじゃん!」
苦笑いのわたしに対し、いきなり眉を下げて悲しそうな顔をした正臣くんに、思わずふっと笑ってしまう。
「ごめんって!
分かった、わたしもやるよ」
「まじで!うっわ、ありがと!
よっしゃ、じゃあ図書館行こ図書館!」
嬉しそうに前を歩く正臣くんを見ながら、今日は早く帰って寝ようと思ってたんだったっけ、なんてことを思い出した。