鈍感で馬鹿な君だから



「それは秘密だけどね。
例えば……"雨、やみませんね"で、"もう少し側にいたいです"って意味になるんだよ。」


わたしは目線を下に向け、シャーペンをくるくると回しながらそう言った。


「はぁ?そーなの?
わっかんねえ!」


正臣くんは、顔をしかめた後、ぶはっと笑った。


「そうだねえ…
分かんないよねえ……」


正臣くんには。


わたしは、シャーペンを回す手を止めて、自嘲気味にふっと笑った。


これだから馬鹿は。


「正臣くんは、もっと言語を勉強しなよ。」


わたしが笑いながらそう言うと


「だから今やってんじゃん!!」


と、正臣くんは、勢いよく自分のノートを指差して言った。


「ほら、早くしねーと時間が………ってやべえ、もう結構遅いじゃん!
そろそろ帰るか!」


確かに時計は結構遅い時間を指していて、そうだね、と言って荷物をまとめはじめた。



< 9 / 14 >

この作品をシェア

pagetop