鈍感で馬鹿な君だから
「それは秘密だけどね。
例えば……"雨、やみませんね"で、"もう少し側にいたいです"って意味になるんだよ。」
わたしは目線を下に向け、シャーペンをくるくると回しながらそう言った。
「はぁ?そーなの?
わっかんねえ!」
正臣くんは、顔をしかめた後、ぶはっと笑った。
「そうだねえ…
分かんないよねえ……」
正臣くんには。
わたしは、シャーペンを回す手を止めて、自嘲気味にふっと笑った。
これだから馬鹿は。
「正臣くんは、もっと言語を勉強しなよ。」
わたしが笑いながらそう言うと
「だから今やってんじゃん!!」
と、正臣くんは、勢いよく自分のノートを指差して言った。
「ほら、早くしねーと時間が………ってやべえ、もう結構遅いじゃん!
そろそろ帰るか!」
確かに時計は結構遅い時間を指していて、そうだね、と言って荷物をまとめはじめた。