ヘッドホンの君
そのヘッドホンの彼は梨花が思った通り、毎日梨花の乗る電車に乗車して来るようになった。
いつも電車に乗ると首に掛けたヘッドホンを装着して音楽を聴き始める。
そしたらスポーツバッグから単語帳を出して、勉強を始める。
その時に覚えているのかブツブツと口元が少し動く。
そして終点の新宿まで一緒。
その後はどうやら彼はJRを使うようだけど、梨花は大江戸線。
いつもそこで別れてしまう。
一回ついてってみようかと思ったこともあるが、学校に遅れるし、
何よりそれは不審者の部類に入る。
それだけは避けたかった。