ヘッドホンの君
梨花はいつも通りの電車に乗った。
彼が乗車して来るようになって、梨花は一回も寝坊をしていない。
彼が好き…なのかはわからないが、彼を毎朝見るだけで満足するのだ。
まるでストーカーみたいでイヤなのだが、
でもつい彼を追ってしまう。
世間では一目惚れ…なんて言うけど、
梨花のヘッドホンの彼に対する気持ちはそこまで情熱的ではない。
あわよくば話しかけられたらなーなんて想っているだけだ。
でもそこまでの勇気は梨花には持ち合わせていない。