ヘッドホンの君


でも次の日も、その次の日も。



彼はいつもの電車に乗ってこなかった。



どうしたのかな…?




すっかりドア脇の手すり付近が梨花のお気に入りの場所となって。


だってそこからだと彼がよく見えるから。




いつもはいるはずの彼がいなくて梨花の胸に空虚感が生まれる。




あそこに彼が立って…彼のお気に入りの白いヘッドホンで音楽聴いて…勉強をする。



梨花は彼がいるはずの場所で彼がそうするのを思い描いた。
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