elevator_girl
「なあ、あの曲やってみようか」と、僕はシュウに言う。
うろ覚えだけれど、適当にイントロのコードを弾いて見た。
シュウは、シーケンサーにロードしておいたベース・トラックの最初の部分をループさせ
カウントを合わせてハンド・タップ。
歌詞を覚えていなかったので、メロディ・パートを適当にフェイクさせて吹いてみた。
お堀端の橋から水面を見下ろしながらライブ。なかなか、これ、いい曲だな....と思う。
2パートでシーケンス・パターンが終わってしまったので、後は流れでつないでゆく。
循環パターンだから、楽しい....。
風が吹く。そよ風、爽やかに。少し風が大きくなると
散り掛けの桜が街路に舞って、とても綺麗。高原の霧のように漂う。
午後の傾いた陽射しが眩しい......。
細かい砂利を踏み、歩んで行く音が聞こえる。さく、さく、と心地良い音だ。
また、風が吹く。
桜花が舞い、何も見えない。
お日様の光が撥ねて......。
遠く、お堀端の方から歩みを進めてきたのは、さっきのあの子だった。
空間で光がハレーション。それは、幻想的な空間色彩のようだった。
romantic - Air - prizm
幻想の 淡色彩
春のかほりは やさしくて
ふんわり おだやか すがすがしい...
そんなことばが 似合いそう
ひかりの粒が 飛翔びさっていく
はじける様が 見えるよう...
透明な 光の束が
エアー・プリズム 砕けて散って
空一杯に ひろがって
とびだそう 踊りだそうよ
さえぎるものはなにもない
おそれることも なにも ない....
僕は、その素敵な瞬間を、何かに残したくて
言葉を探してみた。
シュウは、どう感じているのだろう......。