elevator_girl




「マツさあ、行くよ?」と、シュウは、ループにしたシーケンサーのリズム・トラックでカウント。

適当に始める。

僕は、ピアニカを持ちなおして、静かにカウンターのメロディをやさしく。

カスタネットが入る。


シュウのギターが入って...。


春の霞んだ青空に、スプリング・アズ・ニアリー・ヒア...(春が、いっぱい。)






ちょっとセッションした後、彼女は予定があるらしかったので
そこで別れた。ちょっとザンネンだった。

僕等のキャンパス・ライブのチラシを渡して「良かったら見に来てください」って
シュウは言う。

ありがとう、と彼女は小さく会釈して、小走りに駆けて行く。





「いいねぇ」と、シュウ。


「うん....。」と僕。



「あの感じは、なんか、クリエート系だろね。
カクテルピアニストとか、そういうんじゃないかな?」とシュウ。


「うん...。」と、また、僕。



ウンばかりだねぇ、柳くん、と、深町はふざけて笑う。

なんだか、僕も笑いたくなった。



「リョーコさん、か...。」と、僕。

「苗字はなんだろね」とシュウ。


「田村じゃない?」と僕。いつものノリ。


「ヤワラちゃんかい」と、シュウも乗る。


「谷さんかな」



「おんなじじゃん」...



「じゃ、中野」




「......古過ぎないか、それ」




ワハハと、二人で笑い合った。

今日はいい日曜だった。

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