elevator_girl
「マツさあ、行くよ?」と、シュウは、ループにしたシーケンサーのリズム・トラックでカウント。
適当に始める。
僕は、ピアニカを持ちなおして、静かにカウンターのメロディをやさしく。
カスタネットが入る。
シュウのギターが入って...。
春の霞んだ青空に、スプリング・アズ・ニアリー・ヒア...(春が、いっぱい。)
*
*
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ちょっとセッションした後、彼女は予定があるらしかったので
そこで別れた。ちょっとザンネンだった。
僕等のキャンパス・ライブのチラシを渡して「良かったら見に来てください」って
シュウは言う。
ありがとう、と彼女は小さく会釈して、小走りに駆けて行く。
「いいねぇ」と、シュウ。
「うん....。」と僕。
「あの感じは、なんか、クリエート系だろね。
カクテルピアニストとか、そういうんじゃないかな?」とシュウ。
「うん...。」と、また、僕。
ウンばかりだねぇ、柳くん、と、深町はふざけて笑う。
なんだか、僕も笑いたくなった。
「リョーコさん、か...。」と、僕。
「苗字はなんだろね」とシュウ。
「田村じゃない?」と僕。いつものノリ。
「ヤワラちゃんかい」と、シュウも乗る。
「谷さんかな」
「おんなじじゃん」...
「じゃ、中野」
「......古過ぎないか、それ」
ワハハと、二人で笑い合った。
今日はいい日曜だった。