elevator_girl
「どうしてですか?あんなに詩だって得意そうなのに。」
と深町はお世辞でなく、実感を込めて。
「ううん...なんか、いくら書いても
思ってる事が伝えられないって思うの。」
と諒子は、すこし真顔で。
「それ、スランプじゃないのかな。
俺も経験ありますよ。ギターをいくら弾いても
思った音が出せないって。」と深町も真顔で。
「そういう時どうするの?」と諒子が尋ねると...。
深町は、にやり、と笑って
「そう言うときはドライブなんかして
気晴らししましょう、ね。諒子さん」と...
「ま、お上手なのね。やっぱりナンパじゃないの?深町さん。」
信号が青に変わり、ふたりの楽しそうな笑い声は
また、フォード853cのエキゾースト・ノートにかき消された....。