elevator_girl


あまり乗り付けない路線バス。
深町は、区役所を過ぎて
比較的空いてきたバスの、中程の座席に掛けて
硝子窓を流れる雨滴を眺めていた。
涙滴のようにも見えるそれは、バスの動きに連れて
後方へと、流れ去っていく。
あたかもそれは、時の流れの中で
過ぎ去っていく思い出のようだな、と
深町は、やや詩的にそう思った。
teardrops are fallin' ,teardrops are fallin'...

と、慣用句をイメージした。
ビートルズみたいな、ポップなコード進行がいいかな?

思いついたメロディを、携帯電話に録音する。

As time goes by , that's like ...

適当な歌詞で、メロディを送り込んでいく。


丁度、藤野の居る学校の前を通過する所だった。
深町のメロディが止まる。

...藤野先生。
今日も元気に教壇に立ってるかな。

いつも元気で、太陽のように明るくて。
作業着姿で飛び回っていて。
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