elevator_girl
あれから深町も、オートバイの運転がめっきりおとなしくなって
バイク仲間からは「仏の深町」なんて揶揄されている。
夏名を悲しませてはいけない、と思うと
自然にアクセルが緩み、運転は慎重になる。
そういうものかな、と
可笑しく思った。
闘争的な気持ちなんて持てない。
だって、愛があるから。
こうして、みんな大人になって行くのか。と
妙に悟ってしまったようだ深町だった。
第一国道経由、大学行きのバス...
松之と、夏名....
盲導犬におやつをあげた夏名は、
松之のもとへと、ちょこちょこと歩いて。
「かなちゃんって、優しいね」
松之は、思わずそう言う。
夏名は、眼鏡越しの瞳を細めて、えへへ、と舌をペロリ。
可愛らしく首を傾げて。