elevator_girl

こんなに可愛い子だったかなぁ、と
感慨を覚えるほど、可愛い表情をした夏名。

....やっぱり、
好きな人に愛されて幸せなんだな。


特に、何かが変わった訳でもなくて
ただ、気持ちの中で
安定した愛が得られているというのは
こんなにも美しいものなのか、と
一部始終を見ていた松之は、そう思う。



こんなにも、可愛らしい人がそばにいるんだな。
松之は、嫉妬、なんて言う感情を忘れた。
あまりに素直に夏名が、愛されているから。
その喜びが、自然に滲みでているから。



ただ、羨ましいな。
僕も、こんな風に誰かを幸せにしてあげたい、と
少年のように想うのだった。




「あの、蒸しパン、カナちゃんが作ったの?」と
松之が言うと、夏名は恥ずかしそうに微笑んだ。


料理がまったく駄目、なんていってたのにな。
松之は想う。
愛する人の為に、苦手なものを克服しようとしてるんだ。

....いいな、深町は。こんな、可愛い子に想われて。

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