elevator_girl
もし、僕が先に告白していたら....いいや、仮に、の話だけど。
カナちゃんは僕の恋人だったのだろうか。
なんて、松之はへんな事を考えたりした。
松之と夏名の乗ったバスは、第一国道から
南北大通りに曲がり
しばらく走った市民病院のところで、降車サインが点灯した。
バスはゆっくりと左に寄り、ぴたりと停留所のサイン・ポールへ止まる。
左ぎりぎりに停車したので、縁石のところが丁度、バスの床からステップのように
なっている。
ノンステップ・バスとは言っても、やはり床は路面から30cmくらいはあるので
普通の乗客には、この縁石がステップの代わりになる。
自動制御で、エア・サスペンションの空気が抜かれ
バスは、左に傾く。
そうすると、この縁石が丁度いいステップになるのだ。
どうでもいいことで、誰も気づかないかもしれない。けれど
そういう配慮がある事で、皆が過ごしやすくなるのだ....。