elevator_girl

good....と、老婦人は犬を撫でた。
犬は、得意げに、満足そうに。
守る為に、僕は働いてるんだ...とでも言いたそう。



バスの運転手も腰を上げて居たが、安堵の表情で
腰を下ろす。



夏名も、松之も緊張していたが.....。


「よかったね......。」
「はい....。」


会話とも感想とも付かないような言葉を
ふたりは交す。


「すごいなぁ、盲導犬って。」夏名は、可愛らしく感想を言葉にした。



ゆっくりと、老婦人は舗道に降り
バスの扉は閉じられる。

エア・サスペンションが自動的に車体を水平にし
アクセル・インターロックが外れたバスは
運転手の白い手袋で、安全が確認され
ゆっくりと、停留所を離れていく。

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