elevator_girl
「へえ、あの車を?うーん....似合うかな。」と松之は想像上で
ドライバーズ、シートに腰掛けた諒子の姿を想った。
生成りのような、麻のジャケットをさらっと羽織って。
長い髪を風に遊ばせて、スーパー・7のステアリングを駆る姿。
夏名は、ちょっと淋しそうにしている。
「あ、それでさ、松さ.....」
深町は名案を立てる。
スーパー・7のステアリングは諒子さんに任せて。
パセンジャー・シートにお前が......と。
松之はびっくりとして、手を振る。
「だめだよそんな、二人きりでなんて。第一危ないよ。」と。
大丈夫、と深町はにっこりと笑って
「俺と 夏名ちゃんはRZVでついて行くから。4人で山でも登ろうよ」と
なるほど、それは名案だ...と、松之は思う。
でも、有り難いけど....と、若者らしい自負がまた松之を覆う。
「ありがとう。有り難いけど...そこまで気にしてくれなくてもいいよ。」と
意外な言葉に、深町は驚く。
「そうか....?」