elevator_girl

中国は階級社会だから、そういう言い伝えがある。
花と呼ばれる人たちは、どこまで行っても花であり
草と言われる人は、いつまでも草だ、と...。

そして、君子は風を起こせるが草は靡くだけ。
君子のそばには花がある....。

「あの..先輩?」夏名は、ためらいがちに聞く。

なんだい、と深町は優しく微笑む。


「それだと、諒子さんが一番だけど、諦めたって事...。」
夏名は、不安な表情で。


深町は、すこし、この子が可哀想に思えた。
なんで、こんなに不安がるのだろう....。

「うん、あのねカナちゃん、もちろん諒子さんは素敵な人さ。
カナちゃんだって同じさ。比べる事に意味はない。
違う魅力だからさ。違う?」
夏名は、なんとなく納得できない。それは、純粋無垢であるが故の
怯え、と言った種類のものだろう。

「でもね、これは理屈じゃないのさ。理屈で考えると
そうなるかもしれない。けど、理屈で人を好きになる?
好きになるのは心さ。心がふるえるから、『好きだ』って言えるんだ。」
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