elevator_girl

丘の上キャンパスへの登り坂にも、白い紫陽花が
雨の季節をイメージさせていたが
化学反応によって、その色が青から紫、赤へと変化すると

7月、雨の季節もそろそろ終わりに近づく。

今度、もし晴れたら。
その約束も...雨の季節では致し方ないが。

あれから2週間近くが経過し、深町と松之は
淡々と日常を過ごしていた。

時折、諒子は大学の図書館へは訪れているらしかった。
らしかった、と言うのは
本の貸出期間を過ぎても、図書係から連絡がなかったからだ。
つまり、図書館には訪れているらしい、と言う事だ。
遠慮してのことか、時間の都合か

あれ以降、深町も松之も諒子には会っていなかった。
勿論、諒子には殊更会う理由は無いのだろう。
理由があるのは、松之の方なのだから....。


でも、なぜか松之は諒子に連絡を取らなかった。
次の約束は出来ているから、と言う理由もあったが
松之には余裕がなかったから、と言うのが実状だ。

意外とそういうものだけれど、会えない時間が増えると
その間、想いが心を満たしてしまう。
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