elevator_girl
想像上の偶像は完全無欠だ。だから
その偶像に恋する事が、本当の恋、などと
古い恋愛小説のような言葉を語るまでもなく
イメージ・フィールドを満たしてしまっている
「愛の天使」の偶像に対し
なんの行動もとれないのは当然である。
「理想」に対しどのような行動であっても
「現実」だから、理想的足り得ないのは至極当然な事、だから
松之は、親友深町が作ってくれた機会を有り難く待っていた、と言う訳だ。
昼....。
ライト・ミュージック・ソサエティの部室に
深町は行く。
いつもなら、中庭で一休みするのだけど
今日は雨だから、いくところがなくて
仕方なく、いつもひと気のあまりない
ここで、昼飯代わりのポテト・フライでも食べようか、と
来たのだった。
古臭い、と言うか...。昭和の匂いを色濃く残す
ペンキ塗りのこの部屋、小学校の教室みたいな
ここが、深町は好きだった。