elevator_girl

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駅前。割と大きなこの街、国道が隣接している。大きな〒局、デパート、バス・ターミナル...。
僕等の丘の上キャンパスへ行く、海老茶と白の私鉄バスもここから出ていく。

今日は、日曜日。学校は休みなので、僕は、軽音楽サークルの仲間、Sとこのあたりで路上ライブをするつもりで、ここに来た。

いつものことだが、Sは時間通りに来たためしが無い。

今日も、10時、の約束なのだが..すでに11時。

...遅いな...。

僕は、軽音楽サークルの友人から500円で買ったピアニカを抱えて
Sが来るのを待っている。

駅前の人波は意外と少ないこの場所、殆どの人は地下道を通って国道の向かい側のデパートのある方へ向かってしまうから、ここはパフォーマンスに最適。

でも、肝心のSが来ない事には...。


「おーい!!!松ー、ごめん。」と、駅の方から、フェンダー・ストラトの
ケースを抱えたシュウ(Sの本名は深町 珠と言う)。が大声で。
(ちなみに松、と言うのは僕の名、柳 松之を縮めて皆がそう言うんだ)。

車がひっきりなしに通る騒々しい通りを掻き消すくらいのシュウの大声。ハズカシイ奴だ...と視線を逸らす

..と!。

郵便局の前、taxi-poolの向こうを歩いていくか細いシルエットに僕は陶然となる。

風に舞い散るさくらの花。

それをヴェールに纏うかのように。薄いパステル・トーンを身につけた長い髪の彼女は....。

あの時の!。

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