elevator_girl
「なぁ、シュウ...」


なんだい、と、深町は無造作に、しかし優しく答える。


「僕にとって、リョーコさんって
天上の存在みたいに感じてるんだよ」

深町は、ちょっとどぎまぎしながら「そうか?」と言い
....「ああ、天女か、羽衣を纏った。」と
遠い海岸線を見ながらそう言い
「確かに、天衣無縫、って言葉が似合いそうだな」と
言葉が苦手な深町はそれでも、親友を気遣って。

「うん.....。」と、松之は想う。麻の手触りを。
ずっしりとして、怜悧な手応えは天然素材らしく。
仕上げによっては上品な服にもなり
丈夫な実用品にもなる。ナチュラルな感じが
リョーコさんみたいだな、と、想う。

「でも....。」と、深町はにやにやしながら。
「天女って、水浴してて羽衣を漁師に盗まれるんだよな。その漁師がマツユキくんって訳?.....
あの話は天女のオール・ヌードに感激して返すんだよな...。(ニヤニヤ)。」


松之は赤面し、今度はほんとうに怒る。


おのれ、許さんぞ~、と叫びながら
言った瞬間に理工学棟の方へ逃げていった深町を
追いかけて行った。(笑)
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