elevator_girl
と、深町は、なぜか「サザエさん」のテーマを弾き出したので、松之は慌てて。
この日はアコーディオンをサークルから借りてきたのでそれで、バッキング。
....なんか、調子良い奴だけど。
シュウと居ると、なんか楽だな。
松之は、友人の思いやりに感謝しながら
なれないアコーディオン、左手でコード、
右手でオブリを入れた。
なかなか、風を送りながら弾くのは
難しいな、と思いながら。
もう、お堀端の桜も散り、今は藤の季節...
雨の季節ももうすぐだな..
松之は、遠い空の向こうの雨の匂いが
感じ取れたような気がしていた。
その日は、早めにバスキングを止めて
気分転換に、ぶらぶらしようか、と深町が言い
楽器をケースに納めて、駅のコンコースを抜け
たまたま来たバスに、飛び乗った。
どこへいくんだよ、と松之は尋ねるが
行き先を決めないから「旅」なんだよと
深町は、本当にあてもない様子だったので
なんとなく不安になる松之だったが....
ま、このくらいなら...。
気分転換に丁度良いかな、とも思っていた。
バスは、最初のうち南に向かって走っていたが
消防署のところで東に折れたので、深町は
なんとなくチャイムを鳴らし、降車した。