elevator_girl
波が寄せる音が、効果音のように規則的にリフレイン。

松之はなぜか笑いたくなった。
解放されたから、だろうか。

わはははは、と叫ぶように笑うと
深町が驚いたように松之を見た。

「どうしたんだ....?!」

いや、だって、なんだかおかしくて...と
深町の方を見ると、その向こうに。

か細いシルエット、白い犬を散歩させている...

松之は、言葉を失った。




友の視線に気づいた深町は、嬉々と手を振る。


「りょーこさーん、こっちこっち!」

誰もいない浜辺とは言え、あまりの大声に松之はちょっと驚いた。

勿論、それは彼女も同じ。
びっくりしてこちらを見ている。
スラックスにニットのシャツがスポーティ。
犬のお散歩用ウェアなのか、至ってシンプル。


そのスタイルだと、キャンパス・メイトの女子たちに混じっても違和感がないな
と深町は思った。
大きな白い日本犬は、リードにつながれておらず
吠えながら深町に向かって走ってくる。



「わ、と、と....助けてくれー?」犬は、深町の悲鳴?をよそに、彼の足下に立ち止まり
しっぽを振っている。


「ごめんなさい、驚かせて。」彼女は、涼やかに。
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