elevator_girl
あら、少女だなんて、と諒子は
楽しそうに笑った。
笑っているうちに深町は、「うちの大学、付属図書館の蔵書は随一なんです。
学生、つまり僕らの紹介があれば、誰でも使えるんです。
紹介状送りますから、住所教えて下さい。」
と、深町は、松之の言いたかった言葉を代わりに言ってくれた。
信用してくれているのか、諒子は
住所をすんなりと教えてくれたので
松之は、飛び上がりたいほど嬉しかった。
ありがとう、深町。
元気に砂浜を走り回っていた諒子の犬も
次第に飽きてきたのか、戻ってきて。
帰路であろうか、松林のある遊歩道の方へと
向かいはじめ、こちらの方を見て立ち止まっている。
そろそろ、夕刻......。
「あ、そろそろ私、帰らないと。」諒子がそう言うと
深町は残念そうに
「そうですか~。もう少し早ければなぁ。
あ、そうだ。美人の一人歩きは危険だから、お送りします!」
と、半ば迷惑半分に、白い大きな犬の後を
追い始める。
彼女は迷惑そうな表情も見せずに
犬の後をゆっくりと歩いた。
松之もしかたなく、後を付いて行く。