elevator_girl
あの曲に詩も付けたんだ、と
こないだ書きかけだったようだった詩を見せてくれた。
その詩は.....
「あ!これラブソングじゃない?」と、僕が嬉しそうに言うので
シュウは朴訥そうな頬をすこし赤らめて「あ、んー、うるさいなぁ...」と、ぽつり。
ラブソングなんて書かない、って言ってたのにな、と、僕は言い掛けて引っ込めた。
シュウのイメージに、何かが変化を与えたんだな、あのエレベーター・ガールが。
scene #2 cut #4
僕が物思いしてる間に、シュウは、何やらポケットから電話?を取り出して
ギター・アンプにつないだ。
折り畳んでいた黒板のようなものから、コードを出してアンプにもつないだ。
「それ、なに?」僕はハテナ?と聞く。
深町は得意顔で、「へへぇ。これな、ITバッキング・バンド」
「....どうなってんだ?」
彼はすこし上気した顔で、シールドをギター・アンプにつないで
「ああ、家のPCのデータをスマートフォンで拾って、シーケンサーで再生させる。
まあ、MIDIだから通信カラオケみたいなものだな。自分で作曲したんだけど。」
僕は、よくわからない。こういうトコは流石に理工学部だ。
「そんなことできるのか?」と返す。
シュウは当然、と言う顔で「ああ、着メロだってMIDIだ。知らなかったのか?」
....そうだったのか。あ,,,,「その黒板は?」
「黒板?ああ、太陽電池だよ!。エコ・ライブ。東京電力後援!」
ちょっと芝居っぽく。
「あのな、シュウ...。」僕は、にこにこしながら。
「なんだ?」シュウは、不審そうに。
「ここな、中部電力だよ。」
ふたりで大笑い。こんな事でも、なぜか可笑しい。気持ちが昂揚してる。
スプリング・ハイだろうか。