elevator_girl

同じキャンパスの学生とか、スーパーのお姉さんとか、
コンビニでバイトしてる子とか...


いくらでもいるだろうになぁ、相手なんて。
何で、困難な道を選ぶかなぁ.....。


深町から見ると、恋愛に関して無垢な松之。

彼が、この恋で傷つかなければ良いが.....。


そう、深町は案じた。
愛が生まれたとしても、それだけで巧く行くとは
限らないものだから、だ。


深町は、松之を探した。
別段、クワイア・コーラスの勧誘の話を
伝えるためではなく、いろいろと話をしたかった。

大学生協の売店や、学食、サークルの部室...
いろいろな所を探したが、彼の姿は見あたらない。

天気の良いこんな昼には、たいてい
中庭で楽器を吹いていたりしたのだけれど。

理工学棟の方へと行ってみる。
そこにも姿はなく...

そのまま坂を下った。
すこし汗ばむ程の陽ざしは、もう、5月とはいえ
夏の気配を思わせた。

微かに雨の匂いを感じさせる風....

オートバイ乗りの深町にはよくわかる。
もうすぐ、雨の季節がやってくる。
そして、風の香りが変わったら
夏がやってくるのだ。

オートバイで高原や、山岳を走っていると
風に、雨の匂いを感じる事がある。

そういう時、身構えていると
いきなりスコールの中に、オートバイごと
飛び込んだりすることもある。

スコールがからりと上がると、夏のような
草いきれの中に飛び出したり..

季節が一瞬で過ぎ去ってしまうような
オートバイの旅は、楽しい.....

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