elevator_girl
それは、原初分析的な見方だが....
松之のような、史実や故事などに基準を求めるタイプ、
絶対的基準に沿って生きようと考えるので
そういう、相対基準をによって浮動する考えには
なじめなかった。
松之なら、誰が居ようが居まいが図書館は
静かにするものだ、と考えて行動するだろう。
そういう彼は、やはり大陸的な感覚の中に育ったから、と
彼自身自己分析をする。
だが......
..........そう....でも、誰もいなくても、気をつけようね。
と、夏名に言うつもりの松之だったが
愛らしくにこにこ、と微笑む夏名には、やっぱり言えず
容認してしまうのが、まあ、松之らしいと言うか....
どんな理論も法則も、愛らしい子の笑顔にはかなわないな、と
松之は思っていた。
そして空想する。あの人に、こんな風な笑顔でいつも居てほしいと。
僕は、そのために.....。どうすればいいのだろうか?
などと、青年らしく松之は考えていた。
銀杏は、若葉色の梢を風に任せて...
ゆらゆらと、和んでいた。