elevator_girl
いや、変えることは可能なのだが....。
「うん、ちょっと本が好きな人がいてね。いろいろな本を読んでほしいと思ったんだ。」
と、松之は素直にそう話す。
「ふーん...本が好きな人ですかぁ...........。」夏名は、考えるような仕草をした。
空を見上げて。
銀杏の葉を透かして、太陽の光を見ていた。
あどけないそんな表情を見ていると、松之も和む。
いつも、そうしてれば可愛らしいのになあ、なんて。余計な事も考えていた。
でも、そう考えるのも余計なお節介で
そういう夏名の事を愛しい、と感じるように原初的プリ・プログラムされている人が
必ずいる筈なのだ。
そういう人にとって、夏名は理想の存在。そうなるのだろう。
「女のひと?」なんて、夏名が余計なことを言い当てるので
松之も、深町がそうしたように逃げ出したくなった(笑)。
「あ、あれ?...。」とか、訳の分からない事を口走りながら。
松之が居なくなって。でも、夏名は銀杏の木の音を聞いていた。
金魚の池に陽ざしがきらきらと煌いている。
夏は、もうすぐ...。