純粋少女と歪んだ魔法
序章
カチ、カチ、と響く時計の針の音を私は聴いていた。
黒い壁に飾られた美しい女性の絵がガタリとずれる。
その絵の中の赤く染められた唇は、悪魔の様な微笑みに彩られている。
ああ、あの子もこんな風に笑っていたわ
何でこうなったのかな
目から熱くて紅いものがじくじくと流れ出てくる。
そっと目を閉じた。
冷たくて暗い色の床に転がっている私の脳裏を少女の笑みがよぎる。
私は目を開けた。
何も見えない空間の中で私は存在しない誰かに問いかけた。
ー死なせて頂戴?
その問いは誰にも答えられることなく、深い黒に吸い込まれていった。