純粋少女と歪んだ魔法

願いが叶うトコ

ルイズと名乗った猫は、ひらりとソファーから飛び降りた。

「あんた、ルイズっていうの？」
「そう言ったでしょ？あんたこそ、名前はレイラで間違いないわよね？」

　何で私の名前知ってるの
言おうとしたけど面倒だから頷くだけにした。

「ひどいアザ。これどうしたの？」

　ルイズは私の肩に、軽やかに飛び乗った。
「生まれつき。治らないの。」
私は右の頬を触った。
少し腫れたりひび割れしたりしているけれど、痛くはない。
慣れというのもあるけれど。

「ここ、どこ？」
私はルイズに尋ねた。

「あんたの願いが叶うトコ。」

「えっ、ちょっと待ってよ。どういうこと？」

「言った通りよ。願いが何でも叶っちゃうの。」

　私は耳を疑った。

「でもね、願いを叶えるには、対価が必要よ。
前にもここに人がいたのにね。」

「その人、死んじゃったのよ。」

「何でかって？対価を払ってくれなかったからよ。」

　私はただルイズの口から次々出てくる事に気をとられていた。
言葉が何も出てこない。

「本当に…？
対価を払えば、何でも、願いが叶っちゃうの…？」

　ルイズはクスッと笑った。
「えぇもちろん。」

　私の耳元でルイズが囁いた。

「ここに居ると楽よ。

　苦い薬の時間もない。

　あんたの嫌いな白色も存在しない。

　何よりその顔のアザが治るわ。


　あんたの望む可愛い顔になれるわよ。」


「ー 対価は何を払えばいいの？」


　ルイズは私の言葉を承諾と捉えたようだ。

そして、意地悪く笑うと、こう言った。





　　　　　　　　
「ー あたしが満足するまで人を殺しなさい。」