食人鬼
「何だよ·····これ·········?」
口周りにまだ生暖かい血が付いている。
寝ている時に怪我をした?いや、それはない。
「はっ······。」
俺はふと気が付いた。
いつも感じていた嫌な空腹感が無くなっている。
俺の腹は満たされていて、気分は悪いのに変な満足感があるんだ。
「兄ちゃん?······っうぁ!?」
「あっ······赤月·········?」
怯えた顔で赤月を見た。
赤月は俺の顔を見て驚き、
「どうしたの兄ちゃん?」と聞いた。
「いや、何でもない······。」
自分でも何だか全く分からない。赤月も首を傾げた。
俺は先に学校に行くことを伝え、赤月は部屋から出ていった。
「何なんだよこれ·········」
俺は戸惑いを隠せず、変な違和感を覚えながら血を拭いた。
「·····学校の準備しなきゃ。」
学校に行く気分になんか到底ならなかったが、昨日は早退してしまったので行かなければならない。
俺は制服にアイロンもかけないまま鞄を持ち外に出た。