食人鬼
学校に着くと、俺はすぐに予習を始めた。
昨日の分の遅れを取り戻さなければならない。
友人に恥を忍んでノートを貸してもらい、書き写す作業をしていた。
「····何だったんだろうな。」
いくら食べても全く満たされなかった腹が、こんなにも満たされているのはどうしてなのだろう。
どこか上の空でノートを写していると、ホームルームが始まった。
教室に入ってきた担任はどこか暗く重い表情をしている。
(何か嫌なニュースでもあったのか?)
俺の予感は的中した。
「実は、昨日から中田優さんが行方不明になっています」
これまで静かだった教室中が一気に騒がしくなった。
俺も思わず間抜けな声を出してしまう。
そういえば、いつも遅刻ギリギリなものの、必ず学校には来る優は今日はいない。
「おかしい·········。」
俺は唐突な友人の失踪にまた嫌な予感を覚えた。