食人鬼
「兄ちゃん、相変わらず早いなぁ。」
参った。と言いたげな顔をしながら肩を上下に揺らしている。
ランニングで途轍もない息切れ。
俺はペットボトルの蓋を開け、
斜めに傾けた。
冷たい水の感触が首を伝う。
「兄ちゃん····それ······俺の水·········。」
赤月が凄い目で俺を見ているが気にしない。
赤月の方に、蓋を開けたままのペットボトルを投げた。
ビシャっ。と
赤月の身体に水がかかる。
「ほら早く着替えるぞ。そろそろ朝練だ。」
ポタポタと髪から水滴が垂れ呆然としたままの赤月に白いタオルをかけた。