私が出会った最強男
『______おはよ。』

「____」

おはよぐらい言ったらいいのに。

リュウキは上半身裸で胸の位置には大きな傷が深く残っていた。

私はそっとリュウキの傷をさわった。

『___痛い?』

「_____別に。」

『___リュウキは可哀想ね。』

「___お互い様だろ。」

『____そうね。私も可哀想。ねぇ、リュウキ。どうしてこの傷がついたの?』

リュウキは切なく笑うと

「この傷は10歳の時についた。母親につけられた。8歳の時に親父が死んで、母親は壊れたように毎晩毎晩違う男と寝て、そしてお袋はその男のなかの一人を愛してしまった。」

「母親はその男から殴られていた。でもある時標的が変わったんだ。俺に___。母親に助けを求めても母親は見てみぬふりをして、助けてくれなかった。」

「そんな俺にも限界が来た。俺は包丁を持って男に殴りかかろうとした。でも、母親が俺の包丁をとって男をかばったんだ。そしてその男を守るために俺を殺そうとしたんだ。」

リュウキが愛を知らないのはこの母親のせい。

____可哀想。

私はリュウキをそっと抱きしめる。

『リュウキはずっと泣いていたのね。』

『___可哀想。』

リュウキはただ愛されたかっただけなのに。

母親はリュウキを愛さなかった。

うんん。_____愛せなかった。

自分より、リュウキより旦那さんよりその男を愛してしまったから。










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