闇に染まった真実。
「すみません。朝陽君と2人で話してもいいですか?」
俺たちの会話が成り立っていない様子を見て、医者らしい人が話しかけてきた。
そういうと、皆部屋から出て行き2人きりになった。
「私の名前は三崎といいます。君の名前は朝陽だ。覚えているかい?」
「…?はい。」
「じゃあ、君のお母さんは思い出せるかい?」
「当たり前じゃないですか。お母さんは…」
何を言っているんだこの人は、と少し馬鹿にする。でも思い出そうとすると、頭がズキッと痛んだ。
思い出そうとしても、分からない。頭の中のお母さんに、靄がかかったように、ぼやけて何も見えない。
「っ!…分かりません。」
「じゃあ、妹さんは?」
「…分かりません。」
「自分の年齢は?」
「……。」
その後も色々質問された。でも、さっきみたいに答えられないことはなかった。