タンポポの約束。
「失礼しま〜す」
私がいつものように美術準備室に行くと
まだ先生が来ていなかった
ここにいないのは初めてかも
お手洗いとか?それともまだ職員室かな?
なんて考えながらここで待ってみることにする
「あ……」
いつも先生が眺めているスケッチブックが
無造作に椅子に置かれているのに気がついた
……見たい
でも人のものを勝手に見ちゃダメって思うけど
……見たい
少しくらいならいいかな?
いや、ダメだ…
何度か見たいって言っても見せてくれなかったくらいの物だから
きっと見られたくないんだと思う
でも……見たい
どうしようか自分の中で葛藤していると
美術室の方から物音が聞こえてくる
美術部の人が来たんだろう
…それにしても遅い…
……見てもいいかな?
私は自分の中の悪魔に負けてしまい
スケッチブックを手に取る
緊張する…
その中にいったい何が書かれているのか…
そして大きく一つ深呼吸して
ペラっと表紙をめくった