タンポポの約束。




────────◌。˚✩



まだ小学生だったあの時私は病院に来ていて

その時好きだったテルくんからもらった栞を
風に飛ばされ、水に落としてしまい、泣いていた




すると、泣いている私に綺麗で可愛い女の人が優しく声をかけてくれた





その人に事情を説明すると
天使みたいな笑顔でクローバーを挟んである栞を差し出してくれた











『えっと…じゃあお姉ちゃんの大事な栞をあげる!これじゃダメかな?』











その時の私は何も考えないバカだったから
大事なものを素直に受け取ってしまった











『わぁ〜♪かわいい
いいの?お姉ちゃん』





『うん!他にもあるから大丈夫だよ』











そして私の手に栞を渡すとき、少しだけ悲しそうな顔をしたのを覚えてる


でもやっぱり私はバカだったから能天気に受け取った











『嬉しいな♪
クローバー好きだよ!』





『そうなの?
お姉ちゃんね〜、○○○っていうんだよ』





『かわいい〜♪
私たんぽぽっていうの〜』





『たんぽぽちゃん?
可愛いお名前だねゲホゲホッ…
じ、じゃあお姉ちゃんゴホッ戻るね』











お姉ちゃんはすごく苦しそうに咳をしていて
顔色が悪かった











『うん!ありがとう♪
風邪早く治してね♪』





『ありがとゴホッう』











そう言ってその人とは別れた


名前は三文字だった…
出てきそうで出てこない…



あの後私はお姉ちゃんに会おうと思ったけど
もう病院にはいなくて、会えなかったんだ






────────◌。˚✩







と、先生に話すと

先生の顔は優しげに微笑んでいた




まるでその時のことを思い出すかのように…






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