タンポポの約束。
「自由時間おーわり
ちょっと話聞いてくれないか〜?」
そう、手を叩いたのはミナくん先生
みんな先生が言うとちゃんと席につき、話を聞こうという姿勢になる
「ちょっとした昔話」
昔話…
なんでかな?ミナくん先生の顔が少し悲しそう
「ある、女の子がいました
その子は本当はとても優しくて綺麗な子なのに
変な噂や、妬みのせいでほとんど友達はいなかった
それでも女の子は挫けずにずっと頑張っていた
でも、その綺麗な子のことをちゃんとわからずに嫌がらせや、仲間はずれみたいなことをする子ばかり」
そう語る先生の口調は変わらないものの、少しだけ声が震えているような気がする
「そんな心優しい綺麗な女の子はある病気にかかってしまった
なんでこんなに頑張り屋で優しくて綺麗な子が?
なんで嫌がらせするような子ではないの?
そう、彼氏や唯一の友達、そして家族は思いました」
病気……
語る度に先生の顔は寂しげに揺れる
まるで自分が経験したかのような話し方だ
「でも綺麗な彼女はそんなことがあったけど、とても楽しそうだった
数が少なくてもわかってくれる人がいてくれればいいって考えだったからこそかな?
とても幸せそうに眠りについた
君達は、どっちになりたい?
噂とか妬みとかでいじめる側か
そんなことされても大切に思ってくれる仲間が少しだけいればいいって側か」
そこでようやく私は気付いた
もしかして…私のために…?
って、そんなわけないか!
自惚れちゃダメだよ自分っ
「人を第一印象や噂で決めつけてない?
ちゃんとその人の本質をわかろうとしてる?
そういうのが俺は大事だと思うよ
本当の幸せは…そんなことしてたらこないと俺は思ってる」
…なんか…すごく心にグッときたなぁ
さっきの女の子達も気まずそうにうつむいている
他の人たちも考え込むように、教室はとても静まり返っている