タンポポの約束。




美術準備室に入ると、何も言わずにミナくん先生が頭を撫でてきた











「ビービー泣かないんだな」











言っていることは少しひどい気がするけど
頭を撫でてくれる手はとても優しい





こんなに優しいのに…諦めれるわけない
好きにならないわけが無い











「先生…私は小さい頃に謝れば仲直りできるって習いました…
あれは嘘なんですかね…?」











自分で言っていて切なくなる




私の頭から手を離した先生の指には
指輪がついているのが見えた




左の薬指に指輪が…






なんで不幸ってこうやってお手手つないでやってくるんだろう?





結婚した?とかじゃないよね











「ん?これが気になった?」











私の視線に気付いてか、ミナくん先生は指輪を見ながら微笑む











「彼女とのペアリング
結婚してるわけじゃないけど、よってくる女寄けのために左薬指にしてるんだ〜」











なるほど…


女の人でもそうする人いるもんね











「なんでつけたんですか?」





「噂広まってるし
もー、なんならつけてやろーかなって」











先生はそう言って笑う





まぁこれだけかっこいいのに彼女いないなんておかしいもんね…





わかってることだけどつらいよ





でもその指輪はすこしだけ年季が入っているように見える





そんなに新しいものじゃないのかな?






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