翻弄カレの攻略法。~甘い罠にはご注意ください~


帰りついたのはまだ住み慣れない1LDKのマンション。
新築で会社からも車で15分程と立地も良く、その割には月々の値段もお手頃だ。


引っ越してきたばかりで、物が片付かないその部屋は夕方になると西日が差し込み、部屋が真っ赤に染まる。
そんなところも気に入っていたりするのだ。


着心地の悪いスーツから解放されると、シャワーを浴びて、簡単な料理を作り、自分の口に運んだ。

そろそろ良いかな。

時刻は20時。カレも帰ってきている頃だ。
そうしてスマホを手に取って、カレに電話を繋いだ。


「もしもし」

「菜月。おかえり。どうだった?新しい職場は」

聞きなれた声だが、その声がスマホの電子音と入り交じって少し残念に思う。

カレの声は直接聞くと、もっと重低音が響くいい声だ。




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