印堂 丈一郎の不可解な生活
不可解のはじまり
その男は、お爺ちゃんに担ぎ込まれてここにやってきた。
路地裏に存在する骨董品屋を営んでいる私の家に。
男は、酷い怪我を負っていた。
あちこちから血が出てるし、息だって絶え絶えだ。
でも、その傷を癒す事じゃなく、呼吸を整える事じゃなく。
まず最初にお爺ちゃんに言った言葉。
「お、俺に調息法(ちょうそくほう)を教えてくれよっ、爺さんっ!」
その一言で、私は悟ったんだ。
ああ、彼も…印堂 丈一郎(いんどう じょういちろう)もまた、『こちら側』に足を踏み入れてしまったんだなって…。
路地裏に存在する骨董品屋を営んでいる私の家に。
男は、酷い怪我を負っていた。
あちこちから血が出てるし、息だって絶え絶えだ。
でも、その傷を癒す事じゃなく、呼吸を整える事じゃなく。
まず最初にお爺ちゃんに言った言葉。
「お、俺に調息法(ちょうそくほう)を教えてくれよっ、爺さんっ!」
その一言で、私は悟ったんだ。
ああ、彼も…印堂 丈一郎(いんどう じょういちろう)もまた、『こちら側』に足を踏み入れてしまったんだなって…。
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