印堂 丈一郎の不可解な生活
『辻本 貴遊』という名も、お爺ちゃんのもとで生きていく為の仮の名前。

怪しまれないように髪の毛や瞳も色を変え、人間として生きていくように偽りの、だけど平凡な記憶を教え込まれた。

本当の私は。

「悪魔・黒十字 邪悪の眷属…セシル・カイル」

「セシル・カイル…!」

丈一郎と咢が驚く。

「まさか爺さんが言ってた滅びの五人のうちの一人じゃあ…」

「ああそうだ。吸血鬼の中でも秘術によって遺伝子・細胞・その他神経系や魔法関連の体内機関を変化させた元人間」

吸血鬼の弱点のひとつである昼間を歩く事ができるので、ハイ・デイライトウォーカー(高位なる日の下を歩くもの)と通称される。

分かり易く言えば、吸血されて吸血鬼になったのではなく、生まれながらに、或いはもっと根本的な部分から吸血鬼になった者の事。

その能力は通常の吸血鬼よりも遥か高みにある。

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