印堂 丈一郎の不可解な生活
「これで決定的だ。分かっただろう丈一郎」
咢は丈一郎の顔を見た。
「師匠は人格者だが、些か甘い所があったからな…『辻本 貴遊』という人間はこの世に存在しない。存在するのは『セシル・カイル』という真祖ただ一人。滅びの五人の一翼を担う化け物だ」
「……」
いまだに信じられないような目で、私を見る丈一郎。
そ、そんな目で見ないで丈一郎…。
「違うの…」
私は首を横に振る。
「私がセシル・カイルである事を黙っていたのは謝る…だけど私は人類をどうこうしようなんて考えてないし、滅びの五人の一人っていうのも、人間達が勝手に言い始めた事で…お爺ちゃんの事だって、私は本当のお爺ちゃんのように…」
「お涙頂戴はその辺にしてもらおう」
咢は私の言葉を遮り、腰のベルトにぶら下げたポーチから三枚の小さな刃を取り出した。
咢は丈一郎の顔を見た。
「師匠は人格者だが、些か甘い所があったからな…『辻本 貴遊』という人間はこの世に存在しない。存在するのは『セシル・カイル』という真祖ただ一人。滅びの五人の一翼を担う化け物だ」
「……」
いまだに信じられないような目で、私を見る丈一郎。
そ、そんな目で見ないで丈一郎…。
「違うの…」
私は首を横に振る。
「私がセシル・カイルである事を黙っていたのは謝る…だけど私は人類をどうこうしようなんて考えてないし、滅びの五人の一人っていうのも、人間達が勝手に言い始めた事で…お爺ちゃんの事だって、私は本当のお爺ちゃんのように…」
「お涙頂戴はその辺にしてもらおう」
咢は私の言葉を遮り、腰のベルトにぶら下げたポーチから三枚の小さな刃を取り出した。