印堂 丈一郎の不可解な生活
「でもよぉおおぉ」

ソワソワと、私のそばを右往左往する丈一郎。

「すげぇ血が出てるじゃねぇかぁあぁ、痛ぇんだろ?再生するっつってもよぉおぉ、時間かかるんだろ?」

「ま、まぁそうだけど…」

「何かしてやれる事ねぇのかよぉおぉ、怪我人がいるのに見てるだけっつーのもよぉおぉ」

意外とオロオロするタイプなのね…。

「じ、じゃあ…」

私は少し控え目に切り出す。

「真祖の記憶を取り戻してから、すごく…その…血が飲みたくて…」

「血っ?」

丈一郎がギョッとする。

真祖といえば分かりにくいかもしれないけど、基本的には吸血鬼だ。

人間の血液をエネルギー源にする。

経口摂取でも食事は出来るけど、やっぱり能力の源は血液の方がいい。

「で、でもよぉお、吸血鬼に血を吸われた奴も同じ吸血鬼になるっていうじゃねぇかぁあぁ」

躊躇う丈一郎に。

「あ、だ、大丈夫、咬みついて血を吸わなくても、滴る血をちょっと飲ませてくれるだけでも随分回復するから…」

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