印堂 丈一郎の不可解な生活
だけど、やっぱり吸血鬼に人間の血液は最高の栄養源であり、特効薬だ。

咢の手裏剣で傷つけられた肉体が、目に見えて再生していく。

出血も止まり、深手も塞がった。

「ふぅ…」

思わず満足げに溜息が零れてしまう。

一体いつぶりの吸血だろう。

記憶を失い、ここで『辻本 貴遊』として暮らしていた事を考えると、少なくとも一年以上は吸血していなかった筈だ。

「有り難う丈一郎…生き返った気分…」

「そうか、よかったぜ」

調息で手首の傷を塞ぎ、丈一郎は苦笑いした。

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